Quantcast
Channel: 感染帝国
Viewing all articles
Browse latest Browse all 581

ドイツの二輪産業に復活の兆し?

$
0
0
イメージ 1



どういうわけか、国内最大級のオートバイ販売店に今も名前の残るドイツのメーカー。
MZモトラッド(MZ Motorrad und Zweiradwerk GmbH)を知る人はもう少ないのかもしれません。

MZの前身は、旧東ドイツでは有数の二輪、四輪メーカーだったDKWで、
四輪部門は後のアウトウニオン、今のアウディの母体となった由緒ある会社。

その故郷は、ザクセン州のチョッパウ。
モータースポーツファンにはモトGPの開催地としても有名な土地を発祥とする同社は、
第二次世界大戦後にその名をDKWからMZへと改称しています。
日本では90年代にMuZの名称を使用していたことを覚えている方々もいるはず。

1930年代には世界最大のオートバイメーカーとなるほど急成長した同社ですが、
その名称はアウディに引き継がれる過程で消滅、二輪部門のMZも経営破綻の憂き目に遭っています。



ZPsport 449 costs more than a Panigale | Visordown



その遺伝子は潰えたかに見えたMZですが、かつてと同じチョッパウに元MZの労働者を集め、
新たにZPmotoとして操業を開始、その処女作となる"ZPsport 449 Enduro"をリリースしました。

レトロ&クールなエンデューロマシンのスタイルを再現する同車は、
スペインでトライアル、エンデューロバイクを生産するGASGAS社製の449cc水冷シングルを搭載。
レトロな風貌とは裏腹に、現代的な電子制御式燃料噴射でユーロ3の排ガス規制にも対応しています。



イメージ 2



車体はDKWをルーツとする黒、緑、白に塗り分けられており、
かつてMZがリリースしたES250というエンデューロマシンをモチーフとしています。



装備面ではMUPO製のフロントサス、
オーリンズのリアサス、フロント21インチ、リア18インチのスポークホイールなどを装備。
クロームフィニッシュのアップマフラーもいい感じ。

エンジンのスペックは、50bhp@6,200rpm、52Nm@5,500rpm。
車体重量は装備重量で130キログラム(乾燥118キログラム)と超軽量ですが、
シート高はこの手のバイクらしく860ミリメートルもあり、日常的な街乗りに使うにはちと辛いかも。



辛いのはライディングポジションだけではありません。

同車の18,850ユーロ(日本円で約2,000,000円)という価格は、
(リンク先の記事タイトルにもある通り)欧州における1199パニガーレの価格を上回るもの。
欧州ではさらにVAT(付加価値税)も掛かりますし、あるいはオプションのアクセサリー、
送料などを加えると相当な額となります。

にも関わらず、2012年の10月にスタートした初期生産分は完売。
2013年は年間最大で50台を生産する予定とのこと。



今年はVWグループ、アウディによるドゥカティ買収もあり、
今回のZPmotoの立ち上げなど、二輪関連事業がにわかに復活の兆しを見せています。

アウディはすでにドイツの古豪、ホレックス(Horex)の再興に着手し始めており、
V型6気筒エンジンの"VR6"を近く発売する意向。
ドイツの企業によるイタリアンブランドの取得は、
同社のスポーツバイク生産に関するノウハウを吸収する目的があると噂されています。



かつてのローマの歴史家、
クルチュウス・ルーフスは『歴史は繰り返す(History Repeats itself)』という言葉を残しましたが、
欧州の二輪界にもその言葉は当てはまるのか?

ドイツの二輪メーカーと言えば現在はBMWの独壇場ですが、
世界の二輪メーカーとしてドイツがその名を轟かせる日も案外近いのかもしれません。



関連記事はこちら

アウディの電動アシストバイク『ヴェルターゼ』が自転車を超えている件 | 感染帝国

Viewing all articles
Browse latest Browse all 581

Trending Articles