なんという完璧な勝利!
昨年の参戦以来、WSSクラスで大暴れしているMVアグスタF3 675は、
若きフランス人ライダーの手により、再び開幕戦フィリップアイランド以来の頂点を獲得しました。
2012年シーズンには同クラス年間2位という成績を残しているジュール・クルーセルは、
待望の今季2勝目となり、ランキングでもトップを狙える位置に上がってきました。
ABSOLUTE MV AGUSTA DOMINATION AT MISANO | MV Agusta
今シーズンの折り返し地点となる第7戦のミサノ。
ここまでのレースで2位表彰台を1回、3位表彰台を2回記録しているクルーセルは、
このミサノでもポール・ポジションを奪い、開幕戦以来の勝利に闘志を燃やします。
19周で争われる決勝レースは、これまた完璧なスタートを切ったクルーセルが見事なホールショット!
いきなりペースを上げ、後続との差をじりじりと広げていきます。
第2グループは、ランキングトップのファン・デル・マーク(ホンダ)、ソフォーグル(カワサキ)、
予選8位からジャンプアップしたヤコブセン(カワサキ)がクルーセルを追う展開に。
一方、このレースからMVアグスタに加わった予選11位のロッコリは、
スタート直後は10位付近を走っていたものの、タイヤ選択のミスか徐々に後退していきます。
正直、このレースで最も見応えがあったのが、第2グループの攻防。
ファン・デル・マーク、ソフォーグル、ヤコブセンが三つ巴の争いを中盤まで続けますが、
クルーセルはその間に後続とのギャップを約1.5秒まで拡大、
逃げを打つクルーセルを先頭に、ヤコブセン、ソフォーグル、ファン・デル・マークと続きます。
これを追うべく、7周目に仕掛けたのはファン・デル・マーク。
立ち上がり重視のラインで前を行くソフォーグルをかわしてペースを上げると、
ソフォーグルはこれについていくことができず、徐々に遅れ始めます。
11周目、ファン・デル・マークは、同じようにヤコブセンをかわして2位へ浮上。
トップを行くクルーセルとの差をじりじりと詰めていきます。
1周ごとにクルーセルとのタイム差を削り取り、これに肉薄するファン・デル・マーク。
しかし、終盤はタイヤが持たなかったのか、
はたまた引き離しにかかったクルーセルに付いていけなかったのか、
一時は1秒以下にまで縮んだタイム差は、終盤には再び1.5秒前後まで開いて万事休す。
結局、クルーセルは開幕戦以来の表彰台中央へ登壇しただけでなく、
ライバルを一度も前に出させない完璧なポール・トゥ・ウィンというオマケつきで今季2勝目。
ファン・デル・マークは1秒537差の悔しい2位。
ポイントランキング上では被害を最小限に抑えたものの、その差は28ポイントまで縮んでいます。
今日の結果には満足してるよ。大満足ってやつだね!
主に物理的な観点から、今日は難しいレースになると分かっていた。
ファーストラップからハードにプッシュして、後続とのギャップを築くことができた。
タイヤのグリップが落ち始めたとき、ファン・デル・マークと1秒前後の差を賭けたバトルが始まったんだ。
今日はとても気温が高かったから、僕にとっても彼にとっても難しい要求を迫られたよ。
でも、僕は最後までミスしなかった。
この週末、素晴らしい仕事をしてくれたチームの皆に感謝しないとね。
MVアグスタCEOのジョバンニ・カスティリオーニは、
1992年にカジバGP500がエディ・ローソンの手により表彰台の頂点へ立ったときを思い出したとコメント。
これからもマシンを改善できると確信しているとしています。
直近の記事でお伝えした通り、
ヤクニック・モータースポーツがワークスチームの運営から撤退するという悲劇に見舞われましたが、
F3 675とクルーセルの組み合わせはチャンピオンも狙える位置につけており、
MVアグスタによるシーズン後半の闘いには大いに期待できそうです。
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